【マンガ感想】これは地獄から贈られる、愛の話。『たびしカワラん!! 1巻』

たびしカワラん1巻表紙 マンガ感想

こんにちは、峰晃です。

 

今回は裏サンデーコミックスから『たびしカワラん!!』の感想です。

 

自分、この作者さんの江野スミ先生がめちゃめちゃ好きなんですよねえ……。

 

デビュー前から追っていて、デビュー作の『美少年ネス』や、現在連載中の『亜獣譚』も全部買ってるんですが、

 

現状この『たびしカワラん!!』がいちばん難解で、いちばん好きだったりします。

 

そんなたびカワの魅力をつらつらと書き連ねていきます。

難解で不可解な物語

全4巻で完結しているのですが、1巻時点では謎はおろか世界観さえ曖昧です。

 

現代っぽいような、しかし地獄が実在する世界で、主人公のクレイシハラは地獄の呪術師。(地獄の傀儡師と響きが似てますね)(作品が違う)

 

地獄の生き物に食われるのが呪術師の役目。

 

ですが、呪術師として食われているだけでは生計を立てていけないのでパンツを売って暮らしています。

 

この時点でもうテンションのジェットコースターぶりが見て取れるかと思いますが、シリアスとギャグの間を垂直に行ったり来たりする物語です。

 

なので合わない方には(この方の他の作品も含めて)本当に合わないです。

 

ですがハマる人をとことん沼の底まで沈めていく魅力があります。

 

自分は沈められたひとりです。

強烈で歪なねっとりとした作画

 

表紙を見ていただけるとわかるんですが

 

たびしカワラん1巻表紙

 

とんでもなく描き込みが細かく、ホラー漫画的なねっちょり感があります。

 

表紙だけでなく、本文全編でこんな感じの情報量が詰め込まれています。

 

かと思えばゆる〜い絵と正気とは思えないギャグ(褒め言葉)の洪水が押し寄せ、読者をなんともいえない奇妙な渦の中に飲み込んでいきます。

 

これがもうたまらなくキモチイイんですよ……。

 

この描き込み量だと、シリアス一辺倒だと胃もたれします。ギャグ一辺倒でも胃もたれします。

 

(ちなみに胃もたれを辞さないレベルでギャグに振り切ってるのがデビュー作『美少年ネス』のほう)(こっちもおもしろいです)

 

 

シリアスとギャグと絵柄の描き込みとゆるさが、程よいバランスで成り立ってるんですよね。

 

1巻で出た情報まとめ

 

とにかくこの『たびカワ』、意味がないように見えてたった一コマに伏線が張られていたり、一見なんてことない描写にまぎれた情報が非常に多いです。

 

章の合間や巻末に作者解説が入るレベルで情報過多なんですが、それを一つ一つ読み解いていくのも『たびカワ』および江野スミ作品の楽しみのひとつ。

 

1巻時点でわかっている情報をまとめてみました。

呪術師(クレイシハラ)/呪術について

  • 呪術は『他者の魂を征服する術』であり、この力が血に流れているのが呪術師。
  • 呪いの力が流れる血は、地獄の生物にとって大層美味なものであるらしい。
  • またこの魂は細胞ひとつひとつにも宿るため、細胞の魂を操ることで身体を自在に変化させるなどの術を使うことができる。
  • クレイシハラでの地獄での変化はこの術によるもの。
  • クレイシハラの唾液は傷を治癒する力があり、また微量の「何か」が含まれている
  • クレイシハラは千蔭の祖父の遺品のような「昔の駅員さんのようなノスタルジーな制服」が好き

8年前と18年前

  • 「瓦屋千蔭」とクレイシハラはかつて出会ったことがある。
  • クレイシハラに呪いの爆撃をしていた子供(千蔭?)は、あるときから髪の長いマスクの女に連れられて地獄へ行き、呪うことをやめる。
  • 自分を爆撃した呪いの出どころをたどった結果、クレイシハラは千蔭の魂を呼び寄せる。(このとき、千蔭に呪っていた自覚はない)
  • クレイシハラと千蔭が出会ったのは8年前。
  • では18年前は何が起きたのか?(子供がクレイシハラを呪っていた時期?)

クレイシハラの悪夢

  • 「桜を見たら僕を忘れて下さ」の文字
  • 長い廊下、鼻血を出すクレイシハラ、縄(鉄条網?)で縛られている

千蔭の過去

  • 千蔭は奇妙な病に呪われていた
  • その呪いが解けた直後に母が死に、父にそのことを責められ続けた
  • それをきっかけとして、千蔭は「呪い」に関する研究をしている

地獄について

  • 地獄の空気は遺伝子発現に作用し、細胞を超活性化させる
  • この空気により、地獄の生物は常に変化し続け、怪物の姿になる
  • 呪術師も地獄の空気を取り込んでいるが、変化の呪術により人の形を保てる(≒身体を変化させられる呪術師でなければ怪物になってしまう)

感想

1巻時点では正直、まだおもしろいともおもしろくないとも言えない段階だと思います。

 

だってまだ話始まってないし。

 

土台をとにかく固めるというか、「たびしカワラんはこういう世界だ」というのをこれでもかと叩きつけて終わるのが1巻かな、と。

 

ただこのドロドロ具合というか、本から汁がにじみ出てきそうだな〜って感じに既視感があると思ってたんですけど、これですね

 

 

小林泰三の描くグロテスクのドロドロ具合と感じるものが一緒ですね。

 

1巻でこれだけの情報が出されていて、これらを前提として2巻以降の物語は進みます。

 

意味不明であったり、唐突だったりするシーンも多いので1巻収録までの話で読むのをやめてしまった人も多いんじゃないでしょうか。

 

でもそれはもったいないです。ハイパーもったいないです。

 

4巻で完結したのでそこまで読んでから、この『たびしカワラん!!』という作品を感じてほしいです。

 

まあ合わない人にはマジで合いませんが。

 

2巻以降も情報を拾いながらの感想になります。

 

とりあえず1巻だけでも、と言いにくい作品ですが、雰囲気だけなら公式の試し読みでわかるので読んでみてください。

 

裏サンデー | たびしカワラん!!
裏サンデーで連載中の『たびしカワラん!!』の作品詳細ページです。

 

そして濃厚な地獄の世界を味わってください。一緒に沈みましょう。

 

それではまた!

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