こんにちは、峰晃です。
毎週安定したおもしろさ、アニメ「ガイコツ書店員本田さん」5話の感想です!
今週は元ネタ本はちょっと少なめ。
その代わり、書店裏話が豊富です!
A「OTOIAWASE」
爆買い&大人買いイベント
この出版不況のなか、たくさん本を買っていただけるのは非常にありがたいことです。
しかし棚がスッカラカンになることは話が別なのです。
小さかったり、バックルームがあまり広くない書店だと、
ワンピースみたいな長編作品とかになると在庫1冊棚にあるだけ、とかが結構あるのです。
全巻2冊ずつそろえるだけでもおそろしく場所を取るので。
というより、棚に差してあるやつは在庫1冊、あって2冊くらいが基本なのではないでしょうか。
ありがたいやら衝撃的やらで慌てて補充しますが、ありがたいことには変わりないです。
店員さんに悪いから……とか我慢せず、好きなだけ買ってってください。
お問い合わせ対応
接客業のメイン業務と言っても過言ではない「お問い合わせ対応」
書店ではやはり、
「○○ってタイトルの本、ないですか?」
「○○の何巻の在庫ありますか?」
が圧倒的。これはとても良心的なお問い合わせです。喜んでお調べします。
そこに加え、自分のいた書店では
「今朝の朝刊で見た本ない?」(原文ママ)
「昨日テレビでやってた本ない?」(原文ry)
がツートップを張っておりました。
今朝の朝刊て!!!どの新聞の!!!どういう本で!!!どういうタイトルなのか!!!
せめてタイトルを!!!!!メモして持ってきてくれ!!!!!
なぜか……すごいよくあったんですよ……。「今朝の朝刊の広告」「昨日のテレビ」だけで通じると思っているエスパーさんが……。
ちなみに書店では1話記事でも書きましたが、
gomokuma.com/…/animereview_booksellerHonda
ISBNを伝えると間違いなく一発で目的の本を見つけられるので、
探している本のISBNが分かるようなら店員さんに伝えてあげてください。
分からないなら「タイトル」「著者」「出版社」でOKです。たくさんわかればわかるほどすぐ見つかります。
タイトルだけでないのは、意外と世には「タイトルが同じだけどまったく違う本」というものが存在するのです……。
あとは夏目漱石みたいな名作だと、いろんな出版社が出してるけど収録されてる話が違うバージョン違いとか。
書店側としても、検索で時間を取るのは心苦しいので……。
日本マンガと海外マンガ
話は変わりまして、作中のブラジル人っぽい人が本田さんに訊ねている
日本マンガ(白黒メイン)と海外マンガ(フルカラー)の違いのおはなし。
本田さんが言っているコスト削減ももちろんありますが、
そもそも日本と海外での「マンガ」「クリエイター」に対する意識の違いがあると思います。
日本ではマンガは流動性の大きいエンターテイメントです。
流行り廃りが激しく、たくさんの作品が出版されては、知られることのないまま絶版になっていきます。
また、『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話*1』をはじめとして
「ものをつくること」に対する軽視が、大衆の根底にあるように感じます。
よくあるのが、「友達だから無料でデザインして!」とかですかね。
最近だったらヒルナンデス!で紹介されたハンドクラフトとか。(原価は安くてもそこに決して少なくない技術費用があるんですよ)
故に、1冊にお金をかけられない(ここがコスト削減)。
海外のアメコミやバンドデシネは、芸術寄りのエンターテイメントです。
作品の母数は少なくとも、紙質、フルカラーなど1冊1冊の希少性が高く作られています。
実際、『ウォッチメン』なんかは非常に古いマンガですが、今でも(鈍器サイズで)愛されていますね。ケース付きですよ奥さん。辞書かな?
クリエイターに対する「技術に対価を払う」という意識も根付いています。
だから1冊にお金をかけられる。(フルカラー、紙のこだわりなど)
そういう文化の違いではないでしょうか。
日本のマンガ家も、スタイルを選べるようになればいいんですけどねえ……。
あ、全然関係ないですが、自分も旅人っぽい外国人の方から問い合わせを受け、必死に対応した結果手作りのキーホルダーをもらったことがあります。
元ネタ作品
マザーズスピリット(アーマー係長いわく「モンスターBL」)
マジで一時期流行りに流行ったBLマンガ。自分も読みたいと思いながら今に至る。
B「サイン本だよ!!全員集合」
サイン本は入荷するかどうかも含めて本当に「店による」としか言えません。
自分は2つの書店で勤めていましたが、
片方は大型書店でちょこちょこサイン本の入荷もあるお店、
もう片方はサイン本どころか色紙すら送ってもらえるかどうかわからないお店
と両極端でした。
サイン本は入荷方法に主に2種類あって、
- 出版社からサイン本が送られてくる
- 著者が実際に来店してサインをしてくれる(作中のパターン)
ですね。
自分の時は送られてくるパターンが多かったです。
そしてサイン本、扱いに困るのが返品できないということ。
本屋という業態は特殊で、仕入れられてきた本は委託販売しているという形になっているので、
店頭に置けなくなった本は出版社に返品することができるのです。(普通に返せたり、返すのに出版社の許可をもらわなければいけないなど、ルールはありますよ)
ただし、例外はあります。それが買切と呼ばれる本たち。
その名の如く、委託ではないので返品できない。
売れなければずっと書店に不良在庫として残り続けるなかなか厄介なやつなのです。
一部のマンガの特装版や、岩波書店の書籍などはほとんど買切だったりします。
通常の本が委託販売であっても、サインをされた時点でその本は買切本に生まれ変わります。
お店の方も、扱いが慎重になるんですね……。
すぐに売り切れるような人気作だったら良いのですが、もし売れ残ったら……プルプル。
そういう意味では、著者さんにツイートしてもらうなど、宣伝してもらって売り切れたほうが書店的にも(出版社的にも)ありがたいのですが、
問い合わせで電話がパンクするのも考えもの。(マンガに多い)バランスが難しいですね。
C「気になるエロの話」
有害図書について
主に自治体が定める「不健全指定図書」のことを有害図書と呼ぶことがあります。
青少年に悪影響を及ぼす可能性のある過激な性描写・暴力表現のある媒体の販売を規制するものですが、
これ、あの、表現者として思うのは「あまりにもナンセンス」でしかない。何が有害じゃボケ。
『図書館戦争』が現実になろうとしてるんです。恐ろしいにもほどがある。
もちろんゾーニングは必要です。書店だって、官能小説やらBL小説やらハーレクイン系などは奥まったところだったり、わかりにくいところに陳列するようにしてます。
ですが存在を許されないというのはどうなんでしょうね。
規制して規制して規制し続けて、次に存在してはいけないから潰しますって言われるのは、貴方の好きなものかもしれないのに。
というか有害有害言ってる人は、文学作品とか読まないんですかね?
閑話休題。
自治体の定めや書店の方針にもよりますが、自分が長くいた書店は、いわゆる成人指定雑誌は入荷後即返品。
官能小説は小説棚の端っこの端っこ、BL小説・マンガ・ティーンズラブ作品は柱の後ろのようなわかりにくいところに陳列するようになっていました。
また、いわゆる不健全指定図書は店頭に置くのは空箱で作ったダミーにし、レジ内で販売(その後、注文がなければ入荷しない)というスタンスをとっていました。
しかしこの不健全指定も基準があいまいすぎるんですよね。
BLマンガだったら1巻は不健全指定受けたけど2巻はされなかったとか。
シリーズ作品の4巻だけ指定受けるとか。
なんていうか、えらい人たちに都合よく振り回されている感が否めません。いやホント。
元ネタ作品
ゴールデンカムイ(めっちゃ動物食ったり皮剥いだりする元気なマンガ)
グルメ変態筋肉アイヌマンガ。最近アニメ化した。動物を追いかけまわす元気さよりも、次から次へと出てくる変態たちのほうが危ない。ヒロインは変顔担当。
転生したらスライムだった件(少年が抱えた異世界のおっぱい)
同じく2018年秋アニメの一作品。どちらかというとめっちゃ強いスライムが俺TUEEEしていくのを楽しむ作品であり、いわゆるそういうあからさまなサービスシーンはあまりない。
現時点でなぜか6話の予告がHPに載っていないので次回が不明ですが、
更新されてました!「秘められし力を持つ者」「ぼくらのフェア戦争」の二本立て。
フェア戦争は原作にありますが、秘められし力~の方はアニメオリジナル話かな?2巻収録話でした……すみません……。
来週も楽しみに待ちましょう!
それではまた!
4話感想はこちらから。
【アニメ録】ガイコツ書店員本田さん4話 A「地獄の接客研修」B「ミッション:外出系の仕事」 – ゴモクマ書跡
*1:賛否賛否賛否両論あった実録エッセイ。実際がどこまでだったかはともかく、これに反応したマンガ家さんも多かったことから、真実が含まれていることは確か
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